車載と民生品、ノイズ対策はここまで違う

見落としがちな設計上の注意点

基板設計においてノイズ対策は避けて通れないテーマですが、「車載製品」と「民生品」では、その考え方と要求水準に大きな差があります。

民生品のノイズ対策では、主にEMC規制(VCCIクラスBなど)への適合と、製品としての誤動作防止が目的となります。パスコンの適切な配置、グランドプレーンの確保、クロック配線の処理といった基本的な対策で、多くのケースに対応できます。

一方、車載製品に求められるのはそれをはるかに超えた水準です。CISPR 25(車載機器の放射妨害波規格)やISO 11452(イミュニティ試験)への対応が必要なうえ、車内という環境特有のノイズ源が、イグニッション由来のサージ、モーター・アクチュエータからのスイッチングノイズ、LiDARやレーダーとの干渉を想定した設計が不可欠です。

特に注意が必要なのが「伝導ノイズ」と「放射ノイズ」の両面への対策です。電源ラインへのコモンモードチョーク・Xコン・Yコンの選定、ボディアース経路の設計、シールド構造の検討など、民生品設計では意識しないポイントが多数存在します。

弊社では、EMC対策をアートワーク設計の段階から組み込む設計アプローチを採っています。ダンピング抵抗・終端抵抗の適正配置、アンテナパターン検証、クロック・バス・差動信号のノイズ対策を設計標準として全基板に適用。「後から対策を追加する」のではなく、「最初から作り込む」ことで手戻りを防ぎます。

オリジナル特性インピーダンス計算機

プリント基板の高速信号設計に欠かせない特性インピーダンス(Z₀)を、ブラウザ上でその場で計算できるツールです。配線幅・誘電体厚・比誘電率などのパラメータを入力するだけで、IPC-2141A準拠の計算式による結果を瞬時に表示します。FR-4・Rogers RO4003Cなど主要材料のプリセットにも対応。DDR・PCIe・車載Ethernetといった高速インターフェースの設計検討に、設計スタートの一助としてご活用ください。

ケンテク 特性インピーダンス計算機


配線幅 W 100 μm
μm
配線厚 T 35 μm
μm
誘電体厚 H 200 μm
μm
比誘電率 εr 4.5
Ω

実効誘電率 εeff
伝搬速度
W/H 比
T/H 比
配線幅と特性インピーダンスの関係

① 配線構造を選ぶ
画面上部のタブで「マイクロストリップ」か「ストリップライン」を選択します。マイクロストリップは最外層の配線、ストリップラインは内層に埋め込まれた配線の計算に使用します。

② 材料を選ぶ
「材料プリセット」から基板材料を選ぶと、比誘電率(εr)が自動入力されます。FR-4(εr = 4.5)が一般的な出発点です。車載用途でRogersなど低損失材料を検討している場合はそちらを選択してください。

③ 寸法を入力する
スライダーまたは数値欄で以下を入力します。

  • 配線幅 W(μm)
  • 配線厚 T(μm)— 1oz銅箔なら約35μm
  • 誘電体厚 H(μm)— 使用する層間厚

④ 結果を確認する
特性インピーダンス Z₀ が即時表示されます。50Ω設計の場合、±2Ω以内なら緑、それを超えると黄・赤で警告します。グラフでは配線幅を変化させたときのZ₀の推移が確認でき、目標インピーダンスに向けた幅の調整の目安になります。

Warning

本ツールはIPC-2141A準拠の近似式を使用しています。実際の基板製造では、製造公差・表面粗さ・周波数依存性などにより結果が異なる場合があります。最終的な設計値はシミュレーション(SI解析)および基板メーカーとの確認をお勧めします。